「マチネの終わりに」(平野啓一郎・著)を読んで

平野啓一郎さんの小説「マチネの終わりに」を読みました。

これはいわゆる大人の恋愛小説と安易にカテゴライズしていいものか、読んだあとの余韻に浸りながらしばし茫然としてしまいました。クラッシックギタリストの蒔野と通信社記者である洋子。38歳と40歳の自立した立派な大人である彼らは、ある時ささいな巡り合わせにより知り合い、急速に惹かれ合うようになります。気の乗らない食事会の席で偶然出会った夜のことが、その後何年もお互いの脳裏に忘れられない出来事として刻まれ、たった3度しか会ったことがないのに「人生で最愛の人」と言い切れる存在ははたして何なのか、深く考えさせられます。

平野さんの作品を最後まで読み切ったのは実はこれが初めてだったのですが、その優れた文章力に驚きました。初対面の二人が理解しあった会話がマネージャーの三谷にはまったく通じなかったというエピソードが、後半の物語の展開と繋がっていて見事です。ラストで5年半後に再会した二人のその後を想像するのは、少々野暮なのかもしれません。過去は変えられる、という考え方には救いを感じました。キャッシング 即日